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世界初の「木造」人工衛星 京都大学と住友林業が2023年に打ち上げへ

2020/12/26

 京都大学と住友林業株式会社は、「宇宙における樹木育成・木材利用に関する基礎的研究」に共同であたる研究契約を締結。「宇宙木材プロジェクト(通称:LignoStella Project)」を開始した。2023年に木造人工衛星「LignoSat(リグノサット)」を打ち上げ、2024年3月31日まで宇宙環境下での木材物性評価や樹木育成研究を行う。

 京都大学は、2016年、宇宙飛行士の土井隆雄氏が京大宇宙総合学研究ユニット特定教授に就任。新規テーマ「宇宙における木材資源の実用性に関する基礎的研究」を立ち上げ、現在、大学院総合生存学館において真空中での木材の力学的性質や低重力・低圧力下での樹木の生育に関する基礎研究を進めている。住友林業は、木の総合的な活用を目指し広く研究開発を進める拠点として筑波研究所を1991年に設立。創業350周年を迎える2041年を目標に木造超高層建築物をシンボルとした研究技術開発構想W350計画を推進している。

 今回、両者の“木の価値を高める研究技術を開発し、宇宙での森林形成や木材利用の道を拓き、人類の持続的な発展に寄与する”というビジョンが一致し、両者のリソースを集結して「宇宙木材プロジェクト(LignoStella Project)」を開始することになった。

 プロジェクトでは、宇宙空間での木材利用の可能性を明らかにし、将来、宇宙で木材を活用する基礎的な知見を得るため、2023年に世界初の木造人工衛星を打ちあげる予定。木材は電磁波・地磁気を透過するため、人工衛星を木造にすればアンテナや姿勢制御装置を衛星内部に設置でき、衛星構造を簡素化できる。また、運用終了後、大気圏に突入する際、完全に燃え尽き、燃焼時に大気環境等の汚染源となりうる微小物質(アルミナ粒子)が発生せず、よりクリーンで環境に優しい人工衛星の開発につながる。

 このほか、宇宙環境下における木材の研究を通じて、木造建築向け超高耐候性木質建材の開発等、地球環境下での木材の利用拡大、高い専門性を持つ次世代人材の育成などにも共同で取り組んでいく。

※LignoStella(リグノステラ)は、Ligno(木)と Stella(星)からなる造語
※LignoSat(リグノサット)は、Ligno(木)と 人工衛星(Satellite)からなる造語

参考:【住友林業株式会社】住友林業、京都大学と宇宙木材プロジェクトをスタート 2023年に世界初の木造人工衛星打ち上げへ

大学ジャーナルオンライン:https://univ-journal.jp/74704/

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