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立教大学の2021年度一般選抜、カリキュラム改革と一体化した新しい入試を導入

2020/11/09



 立教大学は2021年度一般選抜で新しい入試制度を導入する。受験機会が文系学部で最大5回となり、昨年度までの最大2回と比べて大幅に拡大する(文学部は最大6回、理学部は最大2回)。これに大学入学共通テストを利用した方式を加えると受験機会はさらに拡大することになり、受験生は増えたチャンスを最大限に活用したいところだ。

 新しい入試制度の背景には、2020年度に実施されたカリキュラム改革がある。立教大学では、2020年度より新たな英語カリキュラムを導入している。これまでも「英語の立教」と称されるように英語教育には定評があった。大学入学時にプレイスメントテストを行い、各学生の英語力に合わせた最適なクラスを編成し、英語力がほぼ同水準のクラスメンバーとディスカッションに無理なく取り組める科目「英語ディスカッション」を通年で開講、この科目は1クラス10名程度の少人数で実施され、身近なテーマで話し合うため、英語を使うことに慣れていなかった学生も積極的に参加できることで大きな教育効果を生んでいる。今回のカリキュラム改革では、この「英語ディスカッション」を春学期のみの開講とし、秋学期から「英語ディベート」科目が新しく開講される。



 この「英語ディベート」は、社会問題などを題材に、賛成派と反対派に分かれて英語で討論を行う。1クラスは20人程度で、討論の前後の授業では、準備や振り返りのための時間も設けられる。ディベートを行うためには、単に英語で話すだけでなく、相手の話を理解し、それに対する反論が必要になり、そのための論拠も必要となる。「英語ディベート」を通して、1年生全員が批判的・論理的に考える力や、情報を収集して活用する力、他者と建設的に議論する力を身に付けることが目標とされている。こうした英語運用能力はグローバルリーダーには欠かせない能力の一つだが、最近では通常のビジネスシーンや社会生活においても、こうした能力が求められる場面が格段に増えている。ところで、この「英語ディスカッション」や「英語ディベート」は新英語教育カリキュラムの一部であり、最終的には経済学や法学などの「専門領域を英語で学ぶ」教育体系の構築が視野にある。

 このような新しい学びに対して、入学後にスムーズに着地するためには、入学する学生が英語力を高める意欲を備えているか、少しでも使った経験があることが望ましい。そのため、2021年度入試からは、大学独自に行う英語試験を原則廃止して、4技能を適性に測ることができる民間の英語資格・検定試験を導入することとなった。なお、指定された英語資格・検定試験以外に大学入学共通テストの英語成績も利用可能で、また文学部のみ、大学独自の英語試験で受験できる試験日が設けられている。




 大学独自の英語試験を原則廃止したことで、試験当日は大学独自の試験科目の2科目受験となる。この2科目の得点に英語資格・検定試験のスコアまたは大学入学共通テストの英語得点を加えた3科目の総合点で合否が判定される。また、受験機会を大きく拡大したことにより、同じ学部・学科(専修)を複数回受験でき、学内の他学部等を受験する学内併願もこれまでよりも圧倒的にし易くなる。また、文学部のみ、大学独自の「英語」、「国語」、「選択科目」の 3科目による試験日が1日設けられている。受験生の受験機会は、文系学部は最大5回に増加し、文学部は最大6回、理学部は最大2回となっている。なお、同一試験日での複数学科への出願はできない仕組みなので注意が必要だ。

 出願にあたっては、英語資格・検定試験の最低スコアは設定されておらず、スコアさえあれば出願が可能だ。また、出願期間の初日から遡って2年以内のスコアが有効と期間が長く設定されていることも受験生には有り難い。合否判定の際、スコアは統計的に処理されて点数化するなど利用する試験によっての有利、不利がないように配慮されている。英語資格・検定試験は7種類が利用でき、複数のスコアを持っている場合は、複数のスコアで出願が可能となっており、最も高得点に換算されたスコアが合否判定に採用される。

 また、大学入学共通テスト利用入試は、従来の大学入試センター試験利用入試から大きな変更はなく、「外国語」科目は、英語資格・検定試験のスコアを利用することもできる。この場合も得点換算されたスコアと大学入学共通テストの「外国語」の得点とどちらか高得点の方が合否判定に採用される。合否判定は大学入学共通テストの成績のみで行われ、複数学科、複数科目型(3科目型、4科目型、6科目型)の併願も可能だ。受験機会が拡大した全学部日程と併せるとさらに受験機会は増えることになる。
 今回の英語教育カリキュラムの刷新とそれに伴う入試改革によって、立教大学のグローバル教育は新たな段階へと進んでいくと見られる。留学生を含めた多様な学生同士が共に学び合うことによって、新しい教育効果が生み出されることだろう。

2021年度一般入試・大学入学共通テスト利用入試の入試要項について
https://www.rikkyo.ac.jp/admissions/news/2020/mknpps000001ck4a.html

大学ジャーナルオンライン:https://univ-journal.jp/column/202061404/

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